暖かな日差しが差し込む縁側。
お昼も食べ終わり、ポカポカ陽気に自然と瞼も重くなってくるというものだ。
思わずぼーっとしていると、膝の上に乗っている彼がもぞりと動く。
柔らかな髪をそっと撫でた。
「…私も眠いです、裕一先輩」
ポツリともらした独り言にはやはり返事は無くって。
ただ規則的な寝息が静かに聞こえてくるだけ。
(あー先輩の髪の毛って凄いサラサラ。どうやったらこんな風になるんだろ)
眠気が襲っているのか思考は極めてまとまりがない。
そうして私は、まるでそれしか出来ない人形のように、彼の髪を撫で続けた。
だから私は眠っているはずの彼が目を覚ましても、反応が遅れてしまった。
「……眠いのか?」
「はい…って、え、先輩起きて」
「お前の側にいるのに、眠れるわけないだろう」
さらりと言われた言葉の意味を理解するまでにかかった時間は約1秒。
そして顔が赤くなるのに、時間はかからなかった。
(あぁ、もうこの人は…!)
目の前で惜しげもなくさらされた優しい笑顔。
それが私だけの特別だと知っている。
何だか彼の言葉に翻弄されているのが恥ずかしくて、苦し紛れに顔を逸らす。
それでもやっぱり、それさえも見破られているのだと思いながら。
(2008/03/28)