愛しいからこそ汚したいと願うのは、人の性。

愛情がなくとも身体を重ねることは容易だが、愛情が在るからこそ、欲情が伴うのだ。

この2つの感情は全く異なる物だが、限りなく酷似した感情であり、そして共存する。

それが、"恋愛"であると教えた。










狭い鳥籠の奥に










まるで幼子のような幼稚な恋愛ごっこをしていると、嗤われた。

陽の下を手を繋いで散歩したり、他愛もない会話をしたり、傍にいるだけの休日を過ごしてみたり。

私自身、子供じみた恋愛ごっこだと笑う。だが、それだけではない事を、私だけが知っている。

他の誰も知る必要がないのだ。

夜に彼女が見せる私だけが知っている声、表情。嗤われたとしても、真実を伝えるつもりは毛頭ない。

いつだって、あれは自分だけの物なのだから。








「ん・・・・・ふ・・・・は・・っ」







暗闇と静寂に包まれた、真夜中のヴァンの私室。その部屋の寝台にいたのは、ヴァンだけではない。

寝台に腰かけたヴァンの足元に、がいた。2人とも一糸拭わぬ姿だ。

ヴァンの足元に座り込んだは彼の股間に顔を埋め、恍惚とした面持ちで必死に彼に奉仕する。

上気したの頬にヴァンは満足げに微笑みながら、優しくの頭を撫でていた。







「随分と上達したものだな・・・・・・・」


「ふぁ・・・・・・気持ち、いい・・・?ヴァンおに、ちゃ・・・・」


「ああ。良すぎて、今すぐにでも出してしまいそうだ」







ヴァンが答えると、が「嬉しい」と柔らかく微笑み、再び目の前の雄にしゃぶり付く。

反射的に小さく息を詰め、若干上がった息にヴァンが不敵な笑みを漏らす。







(全く、調教のし甲斐があったというものだな・・・・・・・)






生娘だったを腕に抱き、夜毎その身に快楽を刻みつけ、ヴァンはを己好みに染め上げていた。

昼は今までと変わらぬ姿と態度で接するが、一たび夜になってしまえば、はまるで別人のようになる。

そうさせたのは紛れもなく自分自身であるが、こうも思惑通りに事が運んだと思えば嬉しくないはずがない。

しかし肉体関係を保つのは性欲だけではなく、ひとえに、を愛しているからなのだが。







(可愛い奴だ)






手と唇を用いて必死に奉仕するの姿を目にするだけで、征服感と独占欲が満たされる。

技術はまだまだ拙いが、その2つの欲が満たされることがヴァンにとって何よりも快感へと繋がっていた。

先端を咥えちぅ、と吸い込んだのを見計らって、ヴァンはの頭を引きはがす。

限界が近い。







「もう良い


「ん、や・・・・でも、まだ」


「いいから。さあ、こちらに来なさい」







ベットの上へとを手招きすると、一瞬躊躇うように視線を彷徨わせてからが頷く。

寝台の上で胡坐をかくヴァンの股間に目を遣らないようにとしているようだが、そそり立つ逸物が、否応なしにに存在感を示しているのだろう。

先程より少し赤身の引いた顔でそっとヴァンの正面に来ると、その腕を引かれた。







「あ。あの・・・・・ヴァンお兄ちゃん、あたし・・・・・・・」


「自分で射れなさい。・・・・・出来るだろう?」


「っ・・・・・・は、はい・・・・」







引かれるまま、ヴァンの上に向かい合う形で跨ぐ。

ヴァンの雄に手を遣り、自身の秘裂に当て狙いを定める。

大きすぎるソレに怯えを抱き躊躇っていると、先を促すようにヴァンに首元に顔を埋められた。

覚悟を決め、ゆっくり、腰を落とす。







「ふぁ・・・・・ふ・・・ひゃあん・・・!や、やぁ・・・っ」









押し入ってくる熱い欲望に全身が震え悲鳴を上げた。

亀頭を埋めたところで一旦動きを止め、息を整えようと試みるも上手くいかない。

腰がぶるぶると震え力が入らない。必死に圧迫感と戦っていると、ヴァンが情け容赦なくの腰を強引に落とす。








「ひあっ・・・・あああん!や・・・おっき・・・・やああああん」


「くっ・・・・・!そう締め付けるな。我慢がきかなくなるだろう」


「ん、だ・・・だって・・・ひぅ・・・おにちゃ、ヴァンおにい、ちゃ・・・」







ぎゅうっとがヴァンの首に腕をまわしてしがみ付く。

幾度となく経験したというのに、未だは挿入時に怯えた様子を見せ、慣れるといった事がない。

からすれば大き過ぎるヴァンを受け入れるのは一苦労で、苦痛を感じなくなっただけでも大進歩だ。

だがヴァンにそんな言葉は通じず、「困った奴だ」と微笑と共に言われてしまうだけだった。



の息が整ったのを見計らい、ヴァンがその細い腰を力強く抱き、下から激しく突き上げた。







「あっん・・・あ、あああ、ひゃあ・・・・や、おにいちゃ、激しっ・・・・ああん!」


「まだまだ、・・・・これからだ」







胎内を我が物顔で暴れまわるソレがの弱いところを容赦なく攻撃する。

ズブズブと音を立ててヴァンを呑みこむ身体とは裏腹に、意識は余裕なく揺さぶられる。

一番深い場所を抉られ、突かれ、理性なんて何処かへ行ってしまう。

鳴き声を漏らしては崩れ落ちぬように身を寄せることしかできない。







「やぁ・・・らめ、奥ぅ・・・・・深い、ふかい、のぉ・・・・!ひゃふぅう」







の足を肩に掛けてやれば、自然と自身の体重で身体が沈んでゆく。

奥深くまでヴァンの欲望を咥えこみ、その圧倒的な質量と熱さに息さえ詰まる。

受け入れるだけで精一杯だと震える体で伝えるものの、ヴァンはそんなの悲鳴に耳を貸さず、腰を動かす。

揺さぶり更に奥を貫くと、悲鳴ともとれる嬌声をが上げた。






「きゃううう・・・おに・・ちゃ・・・んんん!だめ、だめぇ・・・・」


「もうイきそうなのか?困った奴だな。もう少し我慢しなさい」


「だって、だってだって・・・・あああぅ・・・・気持ち、・・・ひぁ、いいの・・・!」


「・・・・・・・仕方がないな」








膝に乗せていた身体を寝台へと倒し、小さな体を組み敷く。

それだけでは嫌々と首を振ってヴァンに限界を訴えるものの、聞き入れられない。

大きく足を広げさせ、ぐっと更に腰を押し進める。すると柔らかい所にヴァンのモノが突き刺さり、小さく悲鳴を上げた。







「ひっ・・・・!だ、だめ・・・それ以上は、だめ、やなのぉ・・・・!」


「何を言っている。・・・・・いつも、此処を、突いてやっているだろう?

お前は此処が弱いからな。気持ちがいいなら、そう言いなさいといつも言ってるはずだ、


「やぁあう!あ、あ・・・や・・・ゆ、ゆるし・・・ああぁあんっ」







赦しを請うのは条件反射のようなものだと知っているヴァンは、構わずが嫌がる場所を責める。

拒絶や赦しを願うのは、強烈な快感に怯える彼女の癖なのだ。

だからこそ聞き入れない。もっとだと、強制的に快感を与え続ける。

生理的に流す涙を止められないまま、がヴァンへ手を伸ばした。







「ヴァンおに、ちゃ・・・・も・・・・あたし・・・・!」


「ああ・・・・・・・・わかっている」







共に上り詰めるため早まる動きに今度こそが泣き叫んだ。

の唇に口付けると同時、力強く、最奥めがけて叩きつける。

悲鳴は吸い込まれ、足をピンと伸ばし、が全身を悦びに震えさせた。







「んむ・・・んふうぅう・・・んんん!」


「・・・・・・・・・っ!」








胎内で膨らんだモノが弾け、蜜が勢いよく噴射され子宮へと叩きつけられる。

浴びせられる精の感触に打ち震え、そのまま絶頂を極めると、意識を失うのであった。










            *    *











意識を失いそのまま眠りについてしまったの身体を綺麗にしてやる。

激しい交わりの後、は大半が意識を失ったり疲れて眠ってしまうので、行為の後の甘い時間はあまり持った事がない。

しかし意識を保っていたら保っていたでヴァンの責めは続くので、どの道無理な話なのだが。

ヴァンの胸にすり寄ってすやすやと眠るの顔は穏やかで、あどけない。

つい先ほどまで艶めかしい姿を見せていた等とは思えず、ヴァンは笑う。

何時まで経っても幼さが消え去らない恋人を心底愛しく感じた。







「早く・・・・・・私の子を身籠れ、







胎内に精を浴びせられ絶頂を極めるように調教したのは、勿論自分色に染める目的あってだ。

しかしヴァンにはそれ以外に、に自分の子を身籠らせるという目的が初めからあった。

言葉にこそしていないが、恐らくその目的をは感じ取っており、それでいて受け入れている。

愛し合っている恋人が行為に及んだ先に待つものなんて、解りきっていた。







「愛している・・・・・・・・








眠りの中にいる愛しい恋人の額に口付けると、腕の中に彼女を閉じ込めヴァンもまた眠りに就くのであった。



















2010/09/04