流されるままに、求められるがままに、受け入れたわけではないと、薄々気付いていた。 明確に変わってしまった関係を怖がり震えるあたしに、彼は小さく口付けた。 何かが変わっていく。でも、一つだけ断言出来た。 やっぱりあたしは、彼を、誰よりも愛しているのだという真実。 「ふゃ・・・・・も・・・、明日、・・・・お仕事・・・」 「関係ない」 「んん・・・・!で、も・・・・ジェイ、んぅう!」 「・・・・・・・・・2人きりの時にあんな男の名前を出す等、それ程は私に仕置きされたいのか?」 巨大な彼のモノがずぶずぶと音を立ててを貫く。 ベットの枕に顔を埋め、腰だけを高く掲げた格好のままが悲鳴を上げた。 既に数えられないほど穿たれた個所からは、ヴァンの精が溢れ、ベットを汚している。 一向に萎えることのない兄の劣情にが震えた。 「は・・・ぁ・・・・や・・・・ごめ、なさい・・・おにいちゃ・・・も、赦して・・・っ」 涙ながらに懇願したとこで受け入れてもらえる筈もない。 再び律動を開始した熱には成す術もなく揺さぶられ、最愛の兄の名を呼ぶのだった。 * * 任務を終え帰宅したティアは、兄と姉の変化に唖然としていた。 どこかで2人の不仲を心配していたというのに、自分が留守の間に何があったのだと問い詰められた。 答えが見つからないは曖昧に笑って、誤魔化すしかなかった。 兄にとって自分が"妹"ではないのだと知った夜以降、自分を取り巻く環境は一変したと言える。 元より家を留守にしがちがったヴァンが、を連れて家を出ると言いだしたのだ。 彼の言い分としては、"ライマ国の王城付近に位置し、尚且つを養う為に家を用意する"というものだ。 現実問題、立派な軍人であるティアはヴァンほどではなくとも家を空ける事も多く、あの家では少々淋しいとは感じていた。 それに加えよりもティアが家計を支えているのも事実。 自立する良い機会だとティアに諭しつつ、しかし未だは支えるのだと彼は主張したのだった。 (・・・・・・ティアは頷いてくれたけど、凄く、強引・・・だった、よね) 末の妹であるティアではなく、自分が兄と共に生活するということ。 例え頭の中で理解していたとしても、淋しく感じない筈がない。自分だったら間違いなく淋しいと思う。 しかし聞き分けの良いティアはその考えに了承してしまった。真実は何一つ知らされぬまま。 「物思いに耽るのも結構ですが、手が止まっていますよ」 唐突に背後から掛けられた声に、意識が現実へと引き摺り下ろされる。 む、っと肩越しに振り返れば、上司が疲労を湛えた面持ちでを見降ろしていた。 「ちゃんとやってるわよ・・・・・・・・それより、今日はもう執務室には寄らないんじゃなかったの?カーティス大佐」 「その心算だったのですがね。残念ながら、大量の仕事を押しつけられてしまったので、一度戻りました。 、今取りかかっている書類が済み次第支度をしてください。所用で出ます」 「所用?・・・・・って、なんであたしが・・・・?」 「ナタリア姫が、同年代の女性に会いたいと仰るものでね。 あなたは確か王女とは同い年ですよね?少なからずも面識もありますし、一緒にライマ国王城まで来ていただきます」 ジェイドの言葉に真っ青になって、固まった。 今何といったこの男? これからナタリアに逢え、と。何の準備もしてないというのに! そんなの心情などお見通しなのか、ジェイドは動きの止まったに仕事を続けるように命令すると何処かへと消えてしまう。 大方自分の方の用事でも済ませてくるのだろう。相変わらず横暴な上司だ。 正装しなければいけないなと思いながら、ペンを走らせる。はて、正装用の軍服は何処にあったのだろうか。 問題は山積みだった。 * * 「結局ナタリア様の用事って、ただのお茶だったんじゃない!それならそうって言いなさいよっ!」 「私が彼女の思惑など知る筈がないでしょう? まあ、"歳の近い女性"と言いながらもを名指ししていた当たり、何かあるのだろうとは踏んでいましたが」 「殆どわかってたんじゃない・・・・・!」 無駄に正装なんてして恥をかいてしまった。にやにやと嫌味ったらしい笑みを浮かべている目の前の男が憎くて仕方ない。 実はジェイドの軍服は、彼の"改造軍服"であり、正規の物に対してデザインが多少異なる。 普段は正規の軍服を身につけているだが、彼の補佐として出掛ける際には、彼と同じデザインの物を着用するようジェイドに言い渡されているのだ。 ジェイド1人の為のデザインの軍服を着用するのは大変抵抗があるので、あまり着たくないのだ。 端から見たら、正直唯の"お揃いの軍服"だから。 「ナタリア様も、わざわざジェイドを通さなくたって・・・・・」 「何をおっしゃるんです。あなたは私の部下、補佐なのですから、全て私を通していただかなくては困りますよ。 あなたには自覚がないかもしれませんが、あなたと私のスケジュールは密接に関係しているんですからね」 殆どデスクワークじゃない、という言葉はかろうじて飲み込む。 これ以上あの書類地獄が増えたら堪ったものじゃない。一体、何をすればあんな書類が毎日毎日届くのやら。 はぁ、と溜息をついた瞬間。とある人物を見つけての肩が跳ねる。 それをジェイドが見逃すはずもなかった。 「おや、あれは」 「ヴァンお兄ちゃん!」 上がった声に気付いたのか、ヴァンが振り返り妹の姿を見つける。 王城で働くと言っても殆ど仕事中に会ったことなどない。嬉しくなって駆け出したい気持ちに駆られたが、ぐ、っと堪える。 今は仕事中だ。自分はともかく、ヴァンが。 ヴァンはの様子に気付いているのか、小さく笑みをこぼし、歩み寄ってきた。 「補佐を連れて王城へ来るなど珍しいですな、カーティス大佐」 「特別ですよ。今日はナタリア様直々に、へのお呼びが掛ったので連れてきたまでです。 それよりも、こんな所で油を売っていても良いのです?近衛騎士団総長ともあろう方が」 「何、先程ルーク達の修業を終えたばかり。少しの立ち話くらいならば赦されるでしょう」 、とヴァンが名を呼んだ。 「カーティス大佐に面倒は掛けていないか?」 「か、かけて・・・・ない、と思う・・・・」 「こんな妹ですが、あまり叱らずにいてやってくださると助かります」 「はよく働いてくれてますよ。デスクワーク限定、というのが勿体ないくらいです」 ジェイドが含んだ言い方をしたのにヴァンだけが気付く。 隣ではジェイドに文句を言いたいのを必死に堪え、嘘ばっかり、と心の中で罵倒していた。 「そろそろ仕事に戻らねばなるまい。このような所で顔が見れてよかったぞ、」 「あ、あたしも・・・!」 「では、失礼する」 立ち去り際、くしゃりと小さく頭を撫でられる。 幼子に対いするような態度だが、こんな些細なやり取りが嬉しくてたまらない。 ふにゃり、と破顔していると、ジェイドが強い力で腕を引いた。 「さあ、さっさと戻りますよ。こんな所で無駄話をする為に、あなたを此処へ連れてきたわけではありませんからね」 「ちょ、わ、わかったからそんなに引っ張らないで!」 「・・・・・・・・全く。こんな心算ではなかったんですがね」 有無を言わさず引き摺るジェイドに文句を言いながら城を後にする。 苦い表情をしているジェイドの真意など推し量れるはずもなく、の王城訪問は、あっけなく幕を下ろした。 その後ろ姿をヴァンが見つめていたことなど、知ることもなく。 * * あの後こってり絞られ、もとい働かされて疲労困憊のは、ふらふらとした足取りで帰宅した。 玄関のドアを開くと家の中に明りが灯されていることに気付く。もうヴァンは帰宅している。 静かに部屋の扉を開くと、こちらに気付いたヴァンが近寄って来た。 「随分と遅かったのだな。今日はもう帰らないのかと思っていたぞ」 「ちょっと書類が多かったんですけど、終わらせてきました。 ジェイドなんかに、お兄ちゃんとの時間を奪わせたくありませんもん」 えへへ、と微笑む。しかしヴァンは昼間のような笑みを浮かべることなく、じっと、を見降ろした。 「・・・・・・ヴァンお兄ちゃん?どうしたの・・・・・」 「今日はずっと、その格好なのだな」 「へ?あ、着替えてくるの忘れてた」 昼間王城へ出向いた時と同じ軍服のまま帰宅してしまった。多忙を極めていたとはいえ失態だ。 恥ずかしくなって俯いたに、突然、強引に唇を奪われる。 「ふぅ・・・・!ん・・・・ぅ・・・っ」 驚いてされるがままになっていると、更に口内にヴァンの舌が侵入する。 息さえ奪われる口付けに翻弄されて、目の前の兄に精一杯しがみ付いた。そうしなければ崩れ落ちてしまいそうだ。 解放されても足腰に上手く力が回らない。しかしの腰を力強く抱きしめられていたので、崩れ落ちることは避けられた。 「は、・・・・・ぁ・・・・おにいちゃん・・・・・?」 「全く、ことごとく私の邪魔ばかりをするのだな、あの男は」 「・・・・・・?」 「良い、お前は気にする必要ない」 そっと額に唇を寄せられる。 今更ながらに兄が不機嫌である事に気付いてしまい、不安そうに見上げると頭を撫でられた。 ヴァンは何故かジェイドの話をするのを嫌がる。2人きりの時は、名前さえ出すのが禁止だ。 真意は全くわからないが、とりあえず、兄の機嫌を損なうと良い事は起こらないので黙っておこう。 「え、と、・・・・・お兄ちゃん、そろそろ離してくれると嬉しい、です」 「何故?」 「だ、だってあたし今帰宅したばっかりで・・・・!その、・・・汚い、ですし」 流石に照れて真っ赤になってボソボソと呟く。 遠回りに"入浴したい"と告げると、ヴァンは何かに気付いたように嗚呼と漏らす。 「そういえばそうだったな。私とした事が失念していたようだ」 「夕食は済ませたので今日はお風呂だけ入ります。ヴァンお兄ちゃんも、その・・・お疲れですし」 これだけ言ってもさっぱり離してくれる気配がない。 兄がそんなに気の回らない男性の筈がないので、どうしたものかと狼狽する。 の心中など見越しているのか、小さく笑みを零し、ヴァンはの手を引いて歩きだす。 ・・・・・・脱衣所の方向に。 「疲れているのならお前も同じだろう。折角だ、今晩は共に入浴すれば良い」 「ぴ、えええええええ!ちょ、ま、えええ!」 「何恥ずかしがることもあるまい?」 ヴァンの言いたい事が理解出来て、一気に頬が紅潮する。 結局が彼に適うわけもなく。ずるずると脱衣所まで引っ張り出され、押し問答の末、結局受け入れてしまうのであった。 * * (駄目・・・・!もう駄目、この状況に堪えられない・・・・!) 浴槽の中にうずくまりながら、は真っ赤に紅潮した頬を両手で押さえていた。 顔が赤いのは勿論熱いからではない。背後にいる最愛の兄が、の身体を抱きしめているからだ。 (うううう、一体この状況は何・・・!?) 身体に一枚巻いているタオルが命綱に他ならない。しかもそれを身につけているのは一人だ。 肩などは勿論素肌を露出しており、隙間なく抱きしめられているから、直にヴァンの肌の感触が伝わってしまう。 湯も白濁色の物にしたといはいえ、恥ずかしすぎる。 浴槽に浸かってからまだ幾らも経っていないというのに、は限界だった。 「どうした、顔が赤いぞ。もう茹ってしまったのか?」 「お、お兄ちゃんのせいじゃないですか・・・・!」 「ふ・・・何を言っているのか、皆目見当がつかぬな。 それよりも、熱いなら先に上がって身体を洗いなさい」 そろりと肩越しに振り返ると、普段と何も変わらない穏やかな表情の兄。 他意はないのだろうと信じ、そろそろと浴槽から上がる。 体に巻いたタオルは水分を含み重くなっており、ほとんどその用途果たしてはいないものの、離すわけにはいかない。 だがが椅子に座って鏡の前に向き直った時、ヴァンが浴槽から立ちあがった。 「ヴァ、ヴァンおにいちゃ・・・・や、!」 「疲れているのだろう?何、私が身体を洗ってやろうと思っただけだ」 いらない、必要ない!とは思ってても言葉には出来ず、ぶんぶんと勢いよく首を横に振って拒絶の意を表す。 しかしそんな物が通る筈もなく。あれよあれよという間に、はヴァンの膝の上に乗せられてしまっていた。 「・・・・・・こんな物を巻いてる必要など、既にあるまい」 「あ、や・・・やだお兄ちゃん・・・!」 「邪魔だ」 命綱はあっけなく取り払われ、の素肌が晒される。 羞恥に全身が染まる。微かな微笑が耳元に触れるだけでも、身体敏感に反応して震えてしまう。 ぎゅっと目を瞑っていると、柔らかなスポンジが肌を掠めていく感触に、反射的に目を開けてしまった。 「ひゃ・・・・お兄ちゃん、や、やだ・・・!」 まるで普通に身体を洗うという行為をしているように見せかけているが、敏感な部分を的確にスポンジが掠めていく。 優しく、けれど明確な意図を持ってヴァンがの素肌に触れてる。 あらかたスポンジで洗い終わる頃にはすっかり息が上がってしまい、力の抜けた身体を背後のヴァンに持たれさせた。 「さて、やはり此処は、こんな物で洗うのは感心せぬな」 「お、にい、ちゃ・・・・・やぁ・・・っぁ、んん!」 きゅっと胸の頂を摘まみ上げられて悲鳴を呑みこむ。執拗に嬲ってくる指が恨めしい。 もはや愛撫する為だけに動くヴァンに抵抗することなどできず、は浴室に嬌声を響かせる。 散々焦らされていたせいか、胸への刺激だけで意識が遠のいてしまいそうだ。 「どうした?そんなに息を上げて。それに・・・・此処が、随分と汚れているな」 「ひやぁああああぁんっ!や、駄目、触らないでぇ・・っ!」 足の間にヴァンの手が侵入する。濡れた箇所の上、最も敏感な場所を摘ままれた。 逃げるように腰を浮かせば押さえつけられ、なおも指で擦りたてられていく。 もう声を抑えることさえできない。目尻に涙を浮かべ、全身を襲う甘い痺れを受け止めていく。 「だめ・・・だめえぇっ・・・・も、や・・・・そこ・・・ん・・っ」 嫌々と首を振るとなだめるようなキスが降ってくる。 しかしヴァンの動きが止まるわけではなく、秘裂の中へと指が挿入された。 「あ、や・・・ああぁあ・・・!」 「聴こえているか?凄い音がするぞ」 ぐちゅぐちゅと粘着質な音が室内に木霊する。 その音が自分の身体から出ているのだと自覚させられるだけで、身体に熱が灯る。 視覚も聴覚も犯されていく。何も考えられなくて、はヴァンに縋り付いた。 「や、おにいちゃ、・・・・・もうや、指、抜いてぇ・・・・・」 「もう我慢できないのか?仕方のない子だ」 「ん・・・・指じゃ、や・・・お兄ちゃんが、ヴァンお兄ちゃんがいいの・・!」 振り返り求めるように唇を奪う。腰に触れるヴァンの下肢が熱く猛り、その熱がを犯す。 口付けに応えながらの身体を浮かせると、濡れた秘裂に肉棒を押し当てる。 恍惚とした表情を浮かべると、兄と繋がるべく自ら腰を沈めていく。 「あ、・・・くぅうん・・・おっきい・・・よぉ・・・・!」 指とは比べられない圧迫感に苦しげに顔を歪ませる。 巨大な彼のモノは苦しいのに、そのまま腰を落とし、根元までヴァンを受け入れる。 全てを胎内に収めきると息を整え、震えながらヴァンに抱きついた。 「よく出来たな・・・・・良い子だ・・・」 「ぁ・・・・・」 目尻に口付けられただけで小さく震えるに微笑むと、尻を鷲掴み揉みしだく。 ぷるぷると打ち震え身悶える妹に更なる快感を与える為、ゆっくりと、ヴァンが動き出した。 「ひぅ・・・・っ、ぁん・・・・ぅっ」 抱かれ慣れた身体が貪欲に快楽を求め疼く。溶けきった胎内を我が物顔で蹂躙する肉棒が、愛しくてたまらない。 ヴァンは妹の敏感な部分を狙い定め突き入れ、の理性を奪っていく。 強すぎる快楽から逃れようと逃げ腰になるのを捕まえては、更に強く先端で擦りつける。 涙で滲む視界で、恐くなってが啜り泣く。 「そこ、や・・・・・そこばっかり、だめ・・・・!グリグリしちゃ、やぁ・・・!」 「は何時の間にそんな嘘つきになったのだ?」 「ひぅ・・・・っ!やああぁあんっ!」 最奥を貫かれ背をしならせて悲鳴を上げる。 の反応に満足そうに笑みを浮かべ、そのまま先端で強く擦れば、が限界を迎えた。 無意識のうちにヴァンの身体に足を絡め、縋り付いたまま、精を求めて締め付ける。 「ふ、ぁ・・・ああっぁあああ!」 「――――っ」 胎内一杯に注がれる熱に身体が震える。 打ちつける精の感触さえも愛しく、熱い吐息を漏らした。 「はぁ・・・・ぁ・・・・・ん・・・んぅ・・・」 「・・・・・・、あいつに気を赦すな・・・・」 「ヴァン、おにいちゃん・・・・・?」 「愛している、我が妹よ」 問いかけるより早くキスの雨が降ってくる。彼が何を危惧しているのか、上手く頭が回らない。 優しい兄の愛情に抱きしめられたまま、嬉しそうに、は目を閉じた。
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